左手と厨二病とガチャガチャの話
私は中学の頃から大学の終わりにかけて、とても特殊な病にかかっていました。
『厨二病』と呼ばれるそれは、人によって症状が様々なことが特徴なのですが、総じて言えるのは、病が完治した後に罹患期の事を思い出すと、めまい・動悸・息苦しさ・頭痛などを伴う、回復後に猛威を振るう病であるという事です。
また、厨二病患者は各々特別な能力を所持していることが多く、私にも、ある特別な力があったのでありました。
それは左手でガチャガチャを回すと『その時いちばんいらないモノが絶対出る』という能力です。ちなみに右手は普通に欲しいものも欲しくないものも平等に当たる、普通の手でありました。
例えば、すでに何個もダブっており、もうこれ以上貰い手もいないぞというキャラクターのキーホルダーを6回連続で引き当てたりですとか、カプセルを開けたら脚が一本無い不良品であったりといった具合です。
この能力は口先で「私は**はいらないぞ」などと発しても、左手が嘘を見抜いて的確に「本当にいらないもの」を引き当てますし、私にとっていらないものでも友人にとっては欲しいものを代わりに引いても「まったく別のどうでもいいもの」を引き当てるという、絶対精度を持つものであったのです。
これは当時の友人たちの間でも有名な能力で、友人がガチャガチャをする際には、絶対に左手でガチャガチャ台に触れるなと、キツく釘を刺されておりました。
こうして、お金の流出を促すばかりで、使用者の心はまったく満たされないこの能力は、大学時代のある時を境に封印されることになったのです。
端的に申し上げますと、左手でガチャガチャをすることは辞めました。
しかし先日フラりと出かけた先で、たまたま見かけたガチャガチャをうっかり左手で回してしまうという禁忌を犯してしまいました。
すると、なんとシークレットガチャを引き当ててしまったのであります。
一見すると幸運なこの能力ですが、シークレットに入っていたのは性懲りもなく「扱いに困るもの」でありました(ものの名前を言うと、ソレを気に入ってらっしゃる方をご不快にする可能性があるので、商品は伏せさせていただきます)
すっかり完治したと思っていた私の厨二病は、いまだ潜伏しているのかもしません。
これを読んで「アナタまだ厨二病なの?私はもうとっくに完治したわよ!」なんて思っているそこのアナタ。
もしかしたら、アナタが気づいていないだけで、実はまだ厨二病はアナタの中でくすぶっているかもしれませんよ・・・?
なーんてね。