会社が倒産しそうな平社員のはなし

病気から復活したら、今度は会社がピンチでした。

その辺の平社員が学んだ営業のコツの話~話し方編~

前回のおはなしはこちら

 

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その昔営業系の部署をお役御免になって設計部へ転属、そこからメンタルをやられて休職期間を経、戻ってきたと思ったら設計部から営業部へ急な異動を経たところ驚きの大躍進をしたという波乱万丈な流れを辿っている最中の私ですが、前記事でもお話しした通り特別な事はなにもしておりません。

ですがこの1年を振り返り、そういえば前とここが違うなというところがいくつかありますので「営業活動うまくいかない!」という方々へ、少しでも参考になればと思います。

 

話し方を変えてみる

 

営業の話し方、といわれて思いつくのはどんな話し方でしょうか?

私は「ハキハキと丁寧に、敬語で話す」が営業の話し方だと思っていました。

大企業さん同士など、お堅い場所ではそれが正解なのだと思いますが、私のように1対1の営業をする職の人には「少し崩した敬語で話す」がどうもちょうど良いように思います。

というのも、しっかりしすぎた話し方はとっつきにくい印象を与えてしまうようで親身になって話している印象が薄れる様なのです。

そういうビジネスライクな態度が好きなお客様もいらっしゃるのですが、「ノリ」と「相談しやすさ」を好まれる方も多くいらっしゃいます。

そして私にとって「少し崩した敬語で話す」ことのメリットはもうひとつ、自分にとって逃げ道を作るという役割も持っています。

なぜかお客様は「カチっとした敬語で話す人」がミスをしたときと「親しみやすい話し方をする人」がミスをした時では、それまでの対応がどうあれ「カチっとした敬語で話す人」の方が大クレームになりやすいんですよね。

私の仕事は自分がどれだけ気を付けていても、途中で他の人が大クレームを起こす原因を作ってくる可能性がある仕事なので、何かあった時にお客様とどれだけ距離を離さずにいられるか、というのが大切になってきます。

2年前の私は父親譲りのとても丁寧な敬語でお客様と接していたのですが、いまいちお客様との距離が詰められずにいました。

ところが今年になって、話し方を少し変えてみたら、驚くぐらいお客様が色々な相談をしてくださるようになったのです。

肝心の話し方ですが「ちょっと方言を入れたり、語尾を緩めて話す」程度の崩し方です。

 

例えを挙げると

「その商品でしたら、弊社でもお取り扱いがございますよ」

 ↓

「その商品なら、うちでも取り扱いしてますよ」

 

「大変申し訳ありませんが今週は建て込んでおりまして、お見積りがご提示できるのは〇〇頃になります」

 ↓

「最近仕事が立て込んどって今週は難しいんですけど、〇〇頃にはご用意できますよ」

 

「こちらのお見積りは現時点でもかなりお値引きさせて頂いておりまして、会社でも相談したのですがこれ以上は厳しい状況でして・・・。ですが、前向きにご検討頂いているとおっしゃって頂いているので、もう少しだけお引きして〇〇円まででしたら、なんとか上司を説得いたします。」

「いまの時点でもかなりお値引きしてて、会社に相談してもこれ以上はかなり難しいって言われちゃったんですよ・・・。でも、せっかくご契約のお話頂いてますし、なんとか〇〇円までは頑張りますんで、この金額でお許し貰えないでしょうか」

 

こんな感じです。

最後の会話なんて、まるでマンガに出てくる商店街の値引き交渉みたいですね。

でも、実際にこんな話し方でも顧客の8割は契約ができていますし、むしろ意外なことに「話しやすい」とご好評いただいています。

ちなみに私、まだ20代ですので年齢の貫禄とかも何もありません。

それでもこの話し方で怒られた事がないのですし、逆にお客様も自分の身の上話を始めたり、近況の話をしてくれたりして距離が縮められることの方が多いです。

 

逆に私が会話する上で気を付けている事は

①話し方がゆっくりになってもいいから、言葉の間に「あー」とか「えー」とか入れない

②言葉尻に「させて頂く」を多用しない。

③他の社員が話しているときは、余裕があったら「良い言い回し」と「聞き苦しい言い回し」を聞いて覚える。

このくらいです。

 

「あー」とか「えー」とか言わないというのは、言わずもがなですね。

これを多用する人の話は、それだけで聞き辛い上に信頼度も落ちます。

昔私の父が空港で渡航目的を聞かれたとき「あー」や「えー」を多用して話していたばっかりに、不審者と勘違いされて別室へ連れて行かれたことがあります。

考えながら話していただけで、なにか焦っていたとかではないのですが、それほどまでに「あー」や「えー」は相手に不信感を与えるです。

国会答弁など聞いて頂けると、私の言いたいことが伝わるかと思います。

言葉の間に不要な単語を入れすぎると「仕事が出来ない人」という印象が強くなるそうですし、話している内容がとても実のあるものでも、なんだかモッサリして聞こえるんですよね。

考え事をしながら話すなら、いっそのこと言葉を話す前に「うーん」とか「そうですねぇ」とか、一文字じゃない言葉を入れ、考えを簡単にまとめてから話始めた方が、意外とスムーズに会話できたりします。

 

 使う言葉も使い慣れていない言葉を入れて間ができるくらいなら、話しやすい言葉でサクサク話せるほうが、肩に力が入らなくていいと思いますよ。

 

 ②の言葉尻に「させて頂く」を多用しないということですが、一言でいうと聞き苦しいです。

私の先輩社員に、お客様と会話するほぼすべての語尾に「させて頂く」を入れていた人がいました。

実際の使い方が

「本日現場の確認をさせて頂きましたので、お見積りの方は〇日にお作りさせて頂きます。完成したらお電話させて頂きますね」

と、まあこのような感じです。

同じ言葉が続いていることも聞き苦しいのですが、そもそも「させて頂く」と言わなくてもいいところにまで「させて頂」きすぎていて、敬語の下手さが逆に際立ってしまっています。

私の個人的な好き嫌いもあると思います。

しかし同じ文章でも

「本日現場の確認をさせて頂きましたので、お見積りの方は〇日にお作り致します。完成したらお電話差し上げますね」

こちらの方が聞き取りやすくはないでしょうか。

この「させて頂く」の多用はカッチリした敬語になれていない人が敬語を使用する時によく見かけるような気がします。

作文のコツとして「同じ語尾で終わる言葉を続けない」というルールをご存知でしょうか?

同じ語尾が連続して続くのは小学生の子の作文などによく見られる特徴でもあり、相手に幼稚な印象を与えるのだそうです。

「昨日は公園にいきました。A君とボール遊びをしました。楽しかったので今日も遊ぶ約束をしました」

「させて頂く」の多用も、これと同じことなんですね。

プラスして「させて頂く」は非常に誤用も多い言葉です。

もし「させて頂く」クセがついている人がいたら、これを改善するといっきに話し方が上手くなるかもしれません。

 

③は+αの要素なので、本当に余裕があったらでかまいません。

良い話し方、悪い話し方の判別がつくようになったら、自分の話し方も同時に向上していくと思うので、何かの片手間とかに聞いていると、いつか役に立つかもしれないな程度のものです。

ついでに面白い話や興味深い話が聞けることもあるので、耳に余裕がある方にオススメの会話上達法だと思って頂けると良いかと思います。

 

以上、平社員が学んだ営業のコツ~話し方編~でした。

その辺の平社員が学んだ営業のコツの話~導入編~

※こちらの導入編は経緯説明なので、興味の無い人は②からどうぞ

 

いまから約1年前の事です。

私は仕事の関係で「適応障害」を起こしてしまい、会社を一月ほどお休みしました。

それまでは設計部に所属していたのですが、休職期間を空けてしばらくの後、部署異動で営業部に転属となり、仕事内容がガラっと変わりました。

とはいえ、私は今回が初・営業活動というわけではなく、2年ほど前までは設計と営業を両方やる部署に所属していましたので、ある程度営業のなんたるかは分かった状態でのスタートになります。

ただし、2年前の部署を異動になった理由も「適応障害」です。

営業職にまったく適応できず成績ボロボロ、ついでにセクハラ事件も重なって精神的にもボロボロになり、表に立つ職から撤退して設計に専念する部署へ異動となったのです。

 

セクハラの話はこちら

 

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そんな言ってしまえば「大失敗」の社員が気分転換という名の人手不足解消で営業職に就くことになりました。

この時の私に対する期待値は、自他共におそらく「とりあえず猫の手を借りてきた」程度であったと自負しております。

元々設計なので商品知識があり、1年前までは営業もしていたので営業ルールも心得ている、休職明けなので抱えている仕事もほぼなく引継ぎもいらないとくれば、下手に中途を雇うよりはある程度の戦力になるだろうとの人員配置だったのだと思います。

さて、この急な転属ですが、結果から言ってしまえば誰もが驚くレベルで大成功しました。

わが社では毎月の個人目標数字というものがあるのですが、通期目標数字を達成しているのが私しかいないからです。

自分で言うのもなんですが、現在の会社の平均成績が90%を割っていることを考えると、なかなかな頑張りだと思いますし、そもそも2年前に営業職に就いていた時の目標達成率が65%くらいだったことを考えると大躍進ですよね。

しかも2年前と現在では、営業期間にブランクがあったというのに月々の目標数字が1.5倍であるにも関わらずです。

我ながら何が起きたかと思ってしまいます。

それと同時に、我が社の経営状況が本気で心配になってきているのですが、ブログのタイトルにすべてが集約されているということで、この記事では深く考えない事に致します。

 

さて、話を本題へ戻しまして、前に営業活動をしていた時と、現在の私とで何か違いがあるのか?という事に行き当たるのですが、断言できます。

 

違います、と。

 

違いといっても、大きな違いではありません。

見た目は変わってないですし(むしろ太ってマイナスです)住んでるところも、ズボラなところもマイナス思考も変わってないです。

趣味も相変わらずゲームと読書というインドアスタイルですし、電話も嫌いです。

 

では何が変わったのかと申しますと、

①話し方

②表情

③知識幅

④とにかくいろんな人とおしゃべりをする

この4つです。

実際に何をどう変えたのか、次の記事でお話しします。

左手と厨二病とガチャガチャの話

私は中学の頃から大学の終わりにかけて、とても特殊な病にかかっていました。

厨二病』と呼ばれるそれは、人によって症状が様々なことが特徴なのですが、総じて言えるのは、病が完治した後に罹患期の事を思い出すと、めまい・動悸・息苦しさ・頭痛などを伴う、回復後に猛威を振るう病であるという事です。

 

また、厨二病患者は各々特別な能力を所持していることが多く、私にも、ある特別な力があったのでありました。

それは左手でガチャガチャを回すと『その時いちばんいらないモノが絶対出る』という能力です。ちなみに右手は普通に欲しいものも欲しくないものも平等に当たる、普通の手でありました。

例えば、すでに何個もダブっており、もうこれ以上貰い手もいないぞというキャラクターのキーホルダーを6回連続で引き当てたりですとか、カプセルを開けたら脚が一本無い不良品であったりといった具合です。

 

この能力は口先で「私は**はいらないぞ」などと発しても、左手が嘘を見抜いて的確に「本当にいらないもの」を引き当てますし、私にとっていらないものでも友人にとっては欲しいものを代わりに引いても「まったく別のどうでもいいもの」を引き当てるという、絶対精度を持つものであったのです。

 

これは当時の友人たちの間でも有名な能力で、友人がガチャガチャをする際には、絶対に左手でガチャガチャ台に触れるなと、キツく釘を刺されておりました。

 

 

こうして、お金の流出を促すばかりで、使用者の心はまったく満たされないこの能力は、大学時代のある時を境に封印されることになったのです。

端的に申し上げますと、左手でガチャガチャをすることは辞めました。

 

しかし先日フラりと出かけた先で、たまたま見かけたガチャガチャをうっかり左手で回してしまうという禁忌を犯してしまいました。

すると、なんとシークレットガチャを引き当ててしまったのであります。

一見すると幸運なこの能力ですが、シークレットに入っていたのは性懲りもなく「扱いに困るもの」でありました(ものの名前を言うと、ソレを気に入ってらっしゃる方をご不快にする可能性があるので、商品は伏せさせていただきます)

 

すっかり完治したと思っていた私の厨二病は、いまだ潜伏しているのかもしません。

これを読んで「アナタまだ厨二病なの?私はもうとっくに完治したわよ!」なんて思っているそこのアナタ。

もしかしたら、アナタが気づいていないだけで、実はまだ厨二病はアナタの中でくすぶっているかもしれませんよ・・・?

 

なーんてね。

 

セクハラは意外と気づけない話⑤

ひとつまえはこちら

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昨日の夜にアップした記事が、タイトルだけ残して中身が全部消失していてびっくりしました。

おじさん社員が何か感づいたのかもしれません。

 

さて、これまで「自分のために」穏便に済ませようとしていた私ですが、最終的に上司に最近のおじさん社員の事を話すことにしました。

私が話をしている間、いつも人をからかってばかりの上司は珍しく黙って話を聞いてくれ、すべて話終わった後、一呼吸置いてから

 

「それは、セクハラです」

 

と言われました。

それまでセクハラという言葉はまったく頭になかったのですが、第三者から指摘されて初めて、自分はこれまでセクハラを受けていたのだということに気づけたのです。

 

セクハラが判明してからの上司の対応は早く、次の日からはパッタリと、電話もデートのお誘いも無くなりました。

 

 

タイトルにある通り、セクハラは被害者、加害者に関わらず、当人たちは意外と気づけないように思います。

最初から毎日電話をかけてきていたり、デートに強引に誘ったりということであればどうかはわりませんが、出だしが「ちょっと会社にで顔を合わせた時に話す程度」から徐々にグレードアップしていくと、案外セクハラという言葉が頭をかすめることすらなかったりします。

少なくとも、私はそうでした。

 

 

晴れてセクハラ被害から解放された私ですが、先述したとおり、そこには周囲の方がすぐに動いてくださったということが、とても大きかったです。

いつか終わると耐えていても、何もしないのに終わることはないので、もっと早く話をすればよかったと、後からとても後悔しました。

辛いなと思ったら、私みたいにうつ病に片足を突っ込む前に、周りに相談するでも、会社を辞めるでもなんでもいいので逃げたした方がいいですよ。

 

ちなみに、今回の件で私の周りの方々からしていただいたことは

 

①電話がかかってきたら「上司からキャッチが入ったので失礼します!」と言って切っていいよという許可

 

②おじさん社員のいる部署の所属長から、やんわりと「最近下の子に毎日電話してるんだって?ちょっと困ってたよ。**さんも、あんまり下の子ばかりかまってると、奥さんから怒られちゃうよ」と、やんわり話をして貰う。

 

この2つだけです。

 

しかも②計画が効果テキメンすぎて、①計画は実行に移すことなく終わりました。

 

 

現在、私とおじさん社員の仲はどうなっているかというと、意外と普通に接する事ができるくらい、後腐れない状態です。

これに関しては、ある意味おじさんの性格がよかったこともありますが、おじさんの所属長が注意するときに「怒る」ではなく「諭す」ように話をしてくださったことが大きいのだと思います。

もし、身近にセクハラ被害についてお悩みをお持ちの方は、セクハラ加害者に「怒る」のではなく「諭す」ようにしていただけると、その後あと腐れが少なくなる・・・かもしれません。

 

そして、もし「あれ?これってセクハラでは?」なんて現場を見かけたら、ちょっと声をかけてみてあげてください。

もしかしたら、セクハラしてる方も、されてる方も、まったく気づいていないかもしれませんし、まわりから指摘して上げるだけで、ちょっと事態が動くことだってあります。

 

以上、セクハラは意外と気づけない話でした。

セクハラは意外と気づけない話④

ひとつまえはこちら

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前回で、おじさん社員の連れてきたチビねことの別れを経験し、非常に落ち込んでいたところに飛び出してきたおじさんの衝撃発言は、その日のうちに社員の半数の知るところとなりました。

 

それほどまでに道徳観を疑う発言でありましたし、そもそも私は最初、ねこを預かることを渋っていたことを、ほとんどの社員が知っています。

他に引き取り手がいなかったこと、たまたまうちに離乳期の先住猫がいたから赤ちゃん猫の飼育に必要な道具が全部揃っていたことが重なって、一時的に我が家でお預かりをしていただけに過ぎません。

 

事件は、次の日に起こりました。

 

おじさん、またねこを拾ってくる

チビねこがいなくなったことを報告した、次の日のことです。

おじさんがまた、子ネコを拾ってきたのです。

こんどは生後1ヶ月半くらいたち、カリカリを食べれるくらいには成長したねこでしたが、問題はそこではありません。

私は短期間とはいえ、共に過ごしたねこを亡くしてまだ2日しか経っていなかったのに、またねこを拾ってきて、しかも私に預けようとしてきたのです。

これにはさすがに、事情を知る他社員が止めに入ってくれましたが、おじさん社員はまったくワケがわかっていない様子だったのです。

彼の中では「この子は猫が好きな子だから、ねこを連れてくれば喜んでくれる」という、謎の確信に満ちた絶対の方程式が完成していたようでした。

 

これはマズいと他社員の方々がおじさん社員に「この子の家には幼い猫がいるから、新しい猫は望んでないんだ」という事を一緒に説明してくださり、加えてその日のうちに仔猫の貰い手も見つけ、そこまでしてようやく、猫はこれ以上増やす気がないという事を分かってもらえました。

この事件には、最近よく聞くサイコパス的なものを感じます。

 

さて、ねこの件が落ち着き、ようやく私への電話も落ち着くかと思いましたが、その後の方がさらに大変でした。

というのも、おじさんから毎日のように会いたいコールが来るようになったのです。

しかも、仕事中、休みの日関係なくです。

仕事が終わったら海へドライブへ行こうと言われては「今日は遅くまで残業なんです(これは本当。だいたい10時か11時くらいまで仕事)」と断り、休みの日に「家に迎えに行くから一緒に出かけよう」と言われては「もうすぐ来客が来る」や「いまから実家に帰るのでお会いできません」と言ってかわし続けていました。

きっぱりと断れればよかったのですが、相手のおじさん社員が、私の仕事で問題が起きた時に、その問題を対処してくれる部署にいた手前、断って次から自分の仕事で問題が起きた時に、ちゃんと対処して貰えなくなったらどうしよう、という思いが働いて、しっかりと断れずにいたのです。

 

ここから私がお伝えしたいことがあるとすれば、相手が自分より立場の弱い相手である時は、相手の方から「この日なら空いてますよ」という代替案等が出ない限り、セクハラ及びパワハラになる恐れがあるので、一度引いて現状をしっかり見つめてくださいということです。

でないと、気づいたらセクハラ容疑をかけられているかもしれませんよ?

 

さて、疑いでは済まないくらい完全にアウトな状態だった件の男性社員ですが、この頃から言動が日に日にエスカレートし、私の中では困った、から怖いへと心象評価が爆上がりをしていました。

 

というのも、デートの断り文句で「実家に帰りますので〜」と行った時には「俺が送って行くから、その間少しくらいドライブしたらいいし、ついてからもごはんくらい一緒に食べよう」と言われ、またある時は「先住ねこの病院へ行くので〜」とお断りしたら「ねこの病院にいくってことは、今はまだ家にいるんだよね?じゃあ今から迎えに行くから、どこかに遊びに行こうよ。ねこの病院は夕方でもいいでしょ?」と、強制連行されそうになったりもしました。

ちなみに私の故郷は、今住んでいるところから車で3時間くらい離れています。

まさか故郷まで一緒に来ると言うとは思わなかったので、これは恐怖の回答でした。

社員寮で家を知られている分、いつ実行されてもおかしくない状態でした。

 

どうにかしてこのおじさん社員から離れたい、けれど他の人に現状を知られ、もしおじさん社員に恨まれたら怖いと思った私が導き出した答えは「この会社を辞めよう」でした。

 

 

上司に退職希望を話す

 

ストレスが限界に達し、電話恐怖症から相手がおじさん社員でないとわかっていても電話に出られない、電話をかけ直すまでに時間がかかる状態に陥り、理由もなく大泣きするところまで追い詰められた私は、意を決して上司に会社を辞めたい旨を伝えることにしました。

 

上司に「お話があります」と伝えたとたん「そんな気がしていたけど、とりあえず別室で話そう」と言われ、小さな会議室で話をすることになりました。

 

この段階になってもまだ、私はおじさん社員のことをいうつもりがなく、会社を辞めたい理由を「自分の実力が仕事内容に対してまったく及ばないため、限界を感じる。最近クレームも連発させ、会社に迷惑しかかけていないから、今のクレームが全て収まったら辞めさせてほしい」と話をした記憶があります。

それを聞いた上司は、最近私の様子がおかしいことに気づいていたこと、クレームが頻発しており、苦しい時期であることに気づいていたことを挙げ、今の私の状況を改めて聞き取った上で、クレーム物件を引き継ぐことまで条件にあげ、私が会社に残れるように計らってくださったのです。

てっきり超個人主義上司だと思っていたので、ここまで心を砕いて下さったことに感謝するとともに、このままではおじさん社員との関係がなにも変わらない可能性があることを悟り、ついに現状を上司に話すことを決意しました。

 

 

 

つぎのはなしはこちら

 

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セクハラは意外と気づけない話③

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前回はおじさん社員からの電話の回数が徐々に増えてきたところまで書きました。

ここからさらにおじさんの行動は斜め上の方向へエスカレートしていきます。

 

おじさん、ねこを拾ってくる。

突然ですが、私の家には当時2匹の猫がおりました(現在は3匹です)

たまたま縁あって私の家に来た元ノラの子たちばかりですが、 うちの子たちに共通することは、私が望んで迎え入れ、責任を持って育て上げると覚悟したうえで引き取った子たちばかりである、ということです。

1匹目の子が同じ会社の同僚の子から引き取ったこともあり、私の家にねこがおり、たまにねこ用のリードをつけて会社の中で運動不足解消のお散歩大会を開く(今は大きくなって落ち着いてきたのでやっていません)くらい飼い猫のことを溺愛しているということは、私が誰に話すともなく会社の中では有名な話となっていました(私の会社は、社内でお世話している室内ねこたちがいるような環境です)

 

そんな噂を件のおじさんも知っており、事件を引き起こすきっかけになりました。

 

ある日突然、おじさんが仕事先から捨て猫、しかもまだ目が開いたか開いてないかくらいの赤ちゃんねこを拾ってきてしまったのです。

ねこを拾ってくることに関して、私からとやかく言うつもりはありません。

しかし、おじさんの行動は非常にアクロバティックなものでした。

 

「仕事先にいたねこが死にそうで可哀想だったから、君に面倒見てもらおうと思って

つれてきちゃった!」

 

これを聞いた瞬間、拾われてきたねこをひと目見ようと集まってきていた同僚たちの雑談がピタッと止まった事は忘れられません。

私も驚きで固まっていました。

 

束の間のフリーズから早く復帰した先輩社員が「**さんが世話するために連れてきたのではないのですか」と聞いてくださったのですが、それに対するおじさん社員の返答は

 

「俺の家族は猫アレルギーがあるから飼えないんだけど、どうしても見捨てられなくて連れてきちゃった」

 

というものでした。

こう人がいるから、動物保護に嫌悪感を示す人が増えるのだと、深く理解した瞬間した。

 

なにを言っているんだと思いましたし、私の家にはすでに2匹の猫がいる状態です。

もし、その連れられてきた猫に病気があり、さらにそれが伝染病であったら?

我が家でのほほんと暮らしている猫たちにも、病気が感染してしまう可能性があります。

加えて当時、2匹いたうちの片割れは、まだ離乳食を始めたばかりの幼猫でしたので、これ以上ねこを増やすことは考えられなかったのです。

 

こうした理由をあげながらねこの引き取りを固辞していたのですが、おじさん社員はまったく聞き入れてくれないどころか

*君の家に直接ねこをつれていく

*君が面倒みなくてもいいように、自分が毎日通って世話をする

など、ズレたことばかりいって、まったく話になりませんでした。

とにかくこの話の中で、私にとっていちばん恐ろしかったのは、猫が増えて私の生活が苦しくなることよりも、ねこを届けに直接おじさんが私の家に来るという発言の方でした(私の家は社員寮なので、住所は周知されています)

 

そうして色々なことを諦めた私は、会社からまっすぐ設備の整った大きな動物病院へ向かい、ねこの検査をして貰ってただの栄養失調で親猫に捨てられたのだということを教えて貰い、赤ちゃんねこの世話の仕方、先住猫との住み分けの相談をしてから帰宅することになりました。

 

その後、私の生活は2〜3時間おきに子猫にミルクを与え、トイレの世話をし、睡眠時間を削って疲労を蓄積するような生活になりました。

ただ、チビねこの世話は、実を言うとそれほど苦にはなりませんでした。

私の主な疲労とストレスの原因はねこを預かってからほぼ毎日のペースでかかってくるようになったおじさんからの長電話の方でした。

最初の頃には10分程度だったおじさんからの電話は、この頃には短くとも30分、長いと2時間を越えるようになっていました。

 

ねこの容態確認から始まる電話は、途中から仕事の話になり、そこから日頃のグチの話になり、こちらから切ろうとするとまた仕事の話に戻り、なかなか切らせてもらえない、負のループに陥っていたのです。

 

ここまでなっても私はまだ、この異常事態から抜け出す方法がわからずにいました。

これは、私に「相談する相手」がいなかったことも大きかったように思います。

当時わたしのいた部署は、私と、私の上司の2人だけの部署でした。

私の上司は30代の男性社員でしたので、こうしたトラブルはとても相談しづらく、普段からの日常会話もそこまで多い間柄ではなく、女性関係の噂もよく聞く方だったので、こちらが自意識過剰だなどと言われたらどうしようと、被害妄想を繰り広げていたせいも多分にあります。

 

そんな日々が2週間ほど続いていたのですが、結果から申し上げますと、子猫は天へと旅立っていってしまいました。

先天性の、栄養がうまく吸収できない病気であったことが原因でした。

たった2週間とはいえ、一緒に過ごした間柄です。

病院で息を引き取った時は、しばらく話ができないくらい大泣きをしました。

唯一の救いだったのは、チビの最後の日、たまたま恋人が遊びにきており、病院に連れて行くところから、亡骸を埋めるところまで、ずっと一緒にいてくれたことです。

加えて、その日は奇跡的におじさんからの着信が一切ありませんでした。

 

次の日、会社でおじさん社員にも一応ねこのことを報告しました。

面倒をみていたのは完全に私であり、むしろねこをダシにして毎日のように電話をしてきていた相手ではありますが、もともと拾ってきた張本人ですし、伝えないわけにも行きません。

 

おじさん社員は私の話を聞いて、病気の猫とは知らなかったとはいえ、辛い役回りをさせたと丁寧に謝ってくださったのですが、そのあとに続いた言葉に、とてつもない衝撃を受けました。

 

「今度は病気のない、元気なねこを拾ってくるな」

 

目の前がまっくらになる思いでした。

ただし、捨て猫なんてそうそういるものではありません。

この時は、タチの悪い冗談だろうと思って聞き流していました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セクハラは意外と気づけない話②

ひとつまえはこちら

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ひとつ前の記事では上司(しかも異性)に指摘されるまで、まったくセクハラ被害にあっているという事実に気づいていなかったという話について書きましたが、今回は「実際に、どんな被害にあっていたのか」という事について書きたいと思います。

 

会社の退職を考えるまでになったのだから、さぞやヒドいセクハラにあったのだろうとお考えになる方もいらっしゃるかもしれませんが、始まりは日常会話の延長からだったので拍子抜けされるかもしれません、

 

だって「君の笑顔、好きだなぁ。その笑顔を見ていると癒されるなぁ」と言われていただけなのですから。

相手は別部署とはいえ役職持ち、しかも妻子持ちの男性です。

当たり障りなく「ありがとうございます」と答えていたのですが、最初はたまーに程度だった笑顔に関する褒め言葉が、次第に毎日、会う度に、と回数が増えていきました。

たまになら嬉しかった言葉も、回数が増える度に、どう反応したらいいのかわからない、対処に困る言葉に変わっていきました。

 

そんな日々を過ごしていたある日、私の抱えている物件で、ちょっとした問題が発生してしまいました。

こうした「ちょっとした問題」を処理してくれるのが、件の男性の業務の一部でしたので、問題解決のために自然と連絡をとりあう回数も増えていきました。

 

最初の頃は仕事に関する内容だけだったのですが、回を重ねるごとに彼の奥さんが冷たい、自分の子どもがまったく話を聞いてくれないというグチが増えるようになり、ついに「君に会いたい」と、毎回電話の終わりに言われるようになっていました。

 

正常な考えの人であれば、この時点で「これは危ない。セクハラに合っているぞ」という意識が働くのでしょうが、当時の私は「お世話になっているし、この問題は**さんの助けなしでは解決できない。無下にすることはできない」「もしもここで電話を切ってしまったら?今後覚えが悪くなって、問題が起きた時の処理をお願いしても断られるかもしれない」「きっと彼も最近仕事が忙しくて誰かにグチを言いたいだけなんだ。仕事を増やしてしまっている身としては、グチくらい聞いてあげないと申し訳ない」と考えてしまい、これが異常な事態だという事に気付くことができませんでした。

 

ここで問題意識を持つことができていれば、誰かに相談できていれば、この後の事件は起きなかったかもしれません。

しかし私も、唯一相談していた私の恋人も、これが「セクハラだ」ということに気づかないままだったのです。

 

唯一の救いは、これがセクハラだとは気づかなかったものの、恋人が「私が本当に困っている」ことを理解してくれていたことかもしれません。

 

つぎのはなしはこちら

 

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